2023年6月に慶應義塾大学と早稲田大学で同時に実施した「電子書籍についてのアンケート調査」の結果を以下に公開します。
【調査概要】
期間: 2023年6月1日(木)~ 30日(金)
方法: ウェブフォームによるオンライン調査
対象: 早稲田大学および慶應義塾大学の学生・教職員
目的: 大学図書館が提供する電子書籍の利用状況と、利用者の要望を把握すること。
回答数: 1,517件(早稲田大学761件、慶應大学756件)
回答者: 学部生・大学院生が約75%、教職員が約25%
【結果の概要】
・全体として、早稲田大学と慶應義塾大学で、回答にほぼ同じ傾向がみられました。
ただし、(12)の「大学図書館で提供してほしい和書の電子書籍の分野」のみ、両大学で異なる結果となりました。
・(1)の電子書籍全般(和書・洋書・漫画など全て)の利用状況は、使う人が8割、全く使わない人が2割でした。
利用者別にみると、日常的に電子書籍を利用している人の割合は、「教員・研究者」、「大学院生」の順で高いことが分かりました。
・(9)の大学図書館が提供する電子書籍を使わない理由としては「存在を知らなかった」が約半数、
ついで「読みたいタイトルがない」、「使い方がわからない」が続きました。
利用者別でみると、教員・研究者になるほど「読みたいタイトルがない」と回答する人の割合が高く、
若い層(学部生・大学院生)では「使い方がわからない」と回答する人の割合が高くなりました。
・(10)の大学図書館が提供する電子書籍の改善点で、最も多かったのは「電子書籍で読める本の数を増やす」で約3割、
「必要な箇所を印刷やダウンロードできるようにする」、「同時にアクセスできる人数の制限をなくす」、
「ビューワーソフトを改良する」、「新刊書をすぐに読めるようにする」が続きました。
【調査結果】
(1)日常的に電子書籍を使っていますか。
ほぼ毎日 …26% 週1~2回程度 …22% 月1~2回程度 …15% 年に数回程度 …16% まったく使わない …21% |
利用者別回答
(2)電子書籍はどのように入手していますか。(複数選択可)
無料コンテンツ …30% 個人で購入・契約 …35% 大学図書館から提供 …32% 公共図書館から提供 …3% その他 …0% |
利用者別回答
(3)大学図書館が提供する紙の書籍と電子書籍ではどちらをよく使っていますか。
紙 …55% 電子 …16% 両方 …25% どちらも使わない …4% |
利用者別回答
(4)大学図書館が提供する紙の書籍/電子書籍を使う理由を教えてください。(複数選択可)
【紙の書籍】 読める本がたくさんある …16% 使い慣れている …18% 思いついた時に読める …6% 持ち運びが楽 …2% じっくり読み込むことができる …16% 内容確認・試読ができる …9% 紙なのが良い …12% 電子書籍が提供されていない …18% その他 …3% |
【電子書籍】 読める本がたくさんある …6% 使い慣れている …3% 思いついた時に読める …17% 持ち運びが楽 …25% じっくり読み込むことができる …2% 内容確認・試読ができる …10% 便利な機能がある(検索、ダウンロード等) …24% 紙の書籍が所蔵されていない …9% その他 …4% |
(5)大学図書館が提供する和書の電子書籍を使っていますか。
ほぼ毎日 …4% 週1~2回程度 …15% 月1~2回程度 …21% 年に数回程度 …29% まったく使わない …31% |
利用者別回答
(6)大学図書館が提供する和書の電子書籍を使う際、デバイスは何を使っていますか。(複数選択可)
スマートフォン(アプリ) …10% スマートフォン(ブラウザ) …16% タブレット(アプリ) …10% タブレット(ブラウザ) …16% パソコン(ブラウザ) …48% |
利用者別回答
(7)大学図書館が提供する和書の電子書籍を、どのような場所で使っていますか。(複数選択可)
大学 …32% 自宅 …42% 移動中 …17% 外出先 …9% その他 …0% |
(8)大学図書館が提供する和書の電子書籍を、どのような目的で使っていますか。(複数選択可)
授業指定のため …12% 学習・研究のため …45% 資格取得・就職活動のため …4% 教養のため …18% 楽しみのため …14% 空き時間に …6% その他 …1% |
利用者別回答
(9)大学図書館が提供する電子書籍を使わない理由を教えてください。
存在を知らなかった …45% 使い方がわからない …19% 読みたいタイトルがない …20% 電子書籍に抵抗がある …6% その他 …10% |
利用者別回答
(10)どのような点が改善されると、大学図書館が提供する電子書籍を使いやすくなると思いますか。(複数選択可、上位3つ)
電子書籍で読める本の数を増やす …29% 新刊をすぐに読めるようにする …10% 同時にアクセスできる人数の制限をなくす …15% 必要な箇所を印刷やダウンロードできるようにする …17% ビューワーソフトを改良する …11% リクエスト(購入希望)をしやすくする …7% 電子書籍の利用方法の案内を充実させる …7% 現状のままでよい …1% 紙の本で充分 …1% その他 …2% |
利用者別回答
(11)大学図書館が提供してほしい和書の電子書籍の種類を教えてください。(複数選択可、上位3つ)
専門書 …31% 教養・一般書 …23% 実用書 …10% 文庫 …13% 新書 …12% 辞書・事典類 …10% その他 …1% |
利用者別回答
(12)大学図書館で提供してほしい和書の電子書籍の分野を教えてください。(複数選択可、上位3つ)
思想・宗教・心理・教育 …16% 歴史・地理 …10% 政治・法律・経済 …13% 理工学・技術 …9% IT(情報技術) …11% ビジネス(就職・資格・経営) …9% 医学・看護学・薬学 …4% 芸術・スポーツ …6% 言語・語学 …10% 文学・評論 …11% その他 …1% |
所属別回答
(13)大学図書館で提供してほしい電子書籍の形式を1つ教えてください。
フィックス型 …39% リフロー型 …29% こだわらない …24% わからない …7% その他 …1% |
利用者別回答
(14)大学図書館向けに電子書籍化してほしいタイトルや、電子書籍について図書館・出版社・プラットフォーマーなどに期待できることがあれば教えてください。(自由記述)
<記述回答まとめ>
・コンテンツ:
特定分野・出版社・タイトルの希望が多いほか、電子書籍全体の増加を望む声も多くありました。
そのほか、絶版になっているような古い書籍や、持ち運びが難しい事典・辞書等の大型書籍、そして授業に関係する電子書籍の提供を望む声が目立ちました。
・プラットフォーム・ビューワー:
ビューワーの機能改善に関する意見が最多となりました。
また、Kindle等の普段から使い慣れている電子書籍プラットフォームとの同期や、それと同等の機能改善を望む声も多くみられました。
・利用条件:
最も多かったのはダウンロード制限の緩和希望で、中には「ダウンロードできないなら紙が良い」という声もありました。
また、フォーマットはフィックス型(PDF形式)を望む声が多く、これはページ数等が紙と同じ内容が良いという意見ともつながります。
同時アクセス数についても制限緩和を求める声が複数ありました。
・その他:
その他の意見としては、図書館の選書方針や利用手順の簡略化に関する意見が多くなりました。
また、「そもそも電子図書館の難しさは出版の収益構造に根本的な問題があると考えられるため、
小手先の電子化ではなく電子書籍と紙書籍が併存する状況を前提とした著作権ビジネスや出版流通の構造改革を求めます。」という声もありました。
≪アンケートは終了しました。ご協力ありがとうございました。≫
このアンケートは、早稲田大学図書館と慶應義塾大学メディアセンターが協働して進めている「早慶和書電子化推進コンソーシアム」のプロジェクトの一環として、皆さまの電子書籍の利用状況やご要望を把握するために実施しています。
利用者の皆さまにとって大学図書館が提供する電子書籍がより使いやすいものになるよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
実施期間:2023年6月1日(木)~6月30日(金)
対象者:早稲田大学および慶應義塾大学の学生・教職員
※なお、本調査は早稲田大学と慶應義塾大学で同時に実施いたします。
アンケートフォーム(早稲田大学用)【受付終了】